3. 脈々と受け継がれる江戸時代からの伝統技術
江戸時代から受け継がれる伝統技術と天然の藍で染めることにこだわり、織りあげる御糸織(みいとおり)は、濃淡を組み合わせた粋な縞柄が特徴です。
今回は、実際に御糸織(みいとおり)を作る工場を見学させていただきました!御糸織(みいとおり)を作る実際の工程をご紹介していきます!
糸染め
御糸織(みいとおり)を織るための糸を染める工程です。
藍染の染料「すくも」の貯蔵用プールと糸を染色する専用の機械が設置された部屋が染場です。
ここで木綿の糸を藍染して御糸織(みいとおり)の独特な風合いを出していきます。
染場に入ったら瞬間から嗅いだことのありそうな独特な匂いがしますね...!
御糸織(みいとおり)の「命」である藍染の液は、この道40年を超える職人が毎日欠かさずに状態をチェックしています。
元気のない藍染の液は、かき回すと色の戻りが遅いようで、「藍は生きもの」だと言う職人によって、継ぎ足されながら管理されています。
藍染の液が入ったプールは全部で14個あり、それぞれ濃さの違う液で満たされており、染めたい色によって使い分けているのです。
「藍は生きもの」だという言葉がありましたね。それほど藍染の液の管理は難しいのですか?
温度を一定の範囲内に保つなど色々な指標があるのですが、最終的には長年の経験で培われた職人の勘に頼っています。
すごい。。江戸時代から受け継がれる職人さんの伝統の技術なんですね!
そうですね。次は御糸織(みいとおり)を染める工程をご覧ください。
糸を染めたい濃さの藍染の液が入ったプールの上に機械を移動させて、染めがスタートです。
機械が下降してそのままプールの中に沈んでいき、完全に糸がプールに浸かる状態にします。
ここから機械につけられた歯車が回転して、藍染の液で満たされたプールの中で糸が絞られていきます。
ある程度、絞ることができたら機械が上昇してくるので、藍色で染まった糸を見ることができます。
この工程をなんどか繰り返していくことで、最初は真っ白だった木綿の糸が御糸織(みいとおり)の特徴的な藍色に染まっていくのです。
職人さんの負担を少なくできるように染めて絞る工程は機械化できているんですね!
1995年にこの機械が導入されたんですよ。それまでは職人の手によって絞られていました。
これを手だけでするのはかなり大変そうですね。。絞るのにもかなり力が要りそうですし...
大変な作業だと思います。今でも「かめのぞき」と呼ばれる1番薄い色の染色は手作業で行っているんですよ。
そうなんですか!なんでそこも機械化しないんですか?
機械染めより手染めの方が色ムラが少ないんですよ。だから「かめのぞき」は手作業で染めるんです。
かめのぞき
手染めの様子
天日干し
御絲織物(みいとおりもの)株式会社の敷地には大きな中庭があり、染場で染められた糸はこちらで天日干しされます。
天気がよくない日には屋内の干し場で干します。
取材に伺った日は小雨だったので、屋内の干し場で干されていました!わたし本当に雨女なんです笑
機織り
染場の隣にある織り場と呼ばれる工場の中で、染められた糸から御糸織(みいとおり)を織る工程を見学することができます。
この工場では、昭和前半の豊田式・東洋式などの織機がいまも現役で稼働しており、全部で27台あります。
濃淡の異なる糸の組み合わせを工夫することで、45種類の柄を御糸織(みいとおり)では作ることができます。
すごい!こんなにたくさんのパターンを作ることができるんですね!
作りたい縞柄ごとに糸の決まった配置があるんですよ。横14個 縦13個に並んだボビンに配置する糸の色によって、様々な縞柄を作り出しているんです。
そんなにたくさんの配置を覚えるのは大変じゃないですか?
代々伝わっている御糸織(みいとおり)の縞帳(しまちょう)があって、縞柄ごとに糸の色や本数が記載されているんですよ。
そういった技術も引き継がれてきたのですね!とても歴史を感じます!
江戸時代から伝承されてきた糸染めの職人技と、代々受け継がれてきた縞帳(しまちょう)があるからこそ、御糸織(みいとおり)の豊富な縞柄を作ることができるんです。
※工場見学のご予約はお電話で承っております。 TEL:0596-55-2217 予約必須
4. 令和時代における御糸織の活用方法
御絲織物(みいとおりもの)株式会社が一軒のみで現代まで繋いできた御糸織(みいとおり)の伝統についてみてきました。
令和時代、御糸織(みいとおり)はその独特の風合いと機能性から、アパレル製品や生活雑貨などに幅広く活用されて、日常的に使えるアイテムになっています。
御糸織(みいとおり)としては、シャツや名刺入れなどが生産されております。
さらに又の名である松阪もめんでは、帽子・ネクタイなどの身につけるものや財布やコースターなどの実用的なものまで幅広く展開されております。
御糸織(みいとおり)や松阪もめんを触った感じはサラッとしていますが、通気性は良いんですか?
通気性と吸水性に優れていて、すばやく汗を吸ってくれて、発散するので、蒸れにくいんですよ。
夏のような湿気でジメジメした季節にピッタリですね!
静電気が発生しにくいから、乾燥しがちな季節でも安心して身に付けることができますよ。
洗うほど色が鮮やかになって、どんどん素材が手に馴染んでくるのも特徴です。
使い込むほどに味わいが増すから、長く愛用できるアイテムですね!
御糸織(みいとおり)は、使い込むほどにその魅力が増していく、長く愛用できる伝統工芸品です。
その通気性や吸水性、そして静電気が起きにくい特性から、四季を通じて快適に使用できる点も魅力の一つです。