1. 広大な水田、佐渡島に似た地形、100歳超えのスーパーバイザー……"本州初" 石川県羽咋市が放鳥場所に選ばれたワケ
そもそも、トキの放鳥とは?
なごみ
こんにちは、地域魅力発見アンバサダーのなごみと申します。
はじめに、トキの「放鳥」とは、そもそもどのような取り組みなのでしょうか?
なごみちゃん、よろしくお願いします!
トキの放鳥は、人工繁殖されたトキを野生に放ち、自力で生息・繁殖させる取り組みです。
井戸さん
放鳥の方法は、ハードリリースとソフトリリースの2種類あります。ハードリリースは、放鳥場所に連れてきたトキを木箱からすぐに開け放つ方法、一方ソフトリリースは、放鳥場所でトキを2週間ほどケージに入れて、周囲の環境に慣らしてから放つ方法です。
第1回目となる羽咋市の放鳥では、ハードリリースとソフトリリース、2つの方法を併用し、15~20羽ほどのトキを放鳥する予定です。
井戸さん
なごみ
一度は絶滅してしまった生き物を野生に帰すのは、並大抵のことではないと思います。
自然環境の整備や住民への周知、観光客へのマナー喚起など……たくさんの課題をクリアする必要があるんです。
国と県が主体となって進められるトキの放鳥プロジェクト。新潟県佐渡市での放鳥を経て、佐渡島内で見事復活を遂げたトキでしたが、いまだ本州では絶滅したまま。本州全域でのトキの野生復帰が進められるなか、名乗りをあげたのが石川県でした。
井戸さん
もともと、石川県は本州最後のトキの生息地ですし、これまでも生物多様性や里山里海の保全シンボルとして、トキにかんするさまざまな取組みをしてきました。
井戸さん
羽咋市が本州初の放鳥場所に選ばれたワケ
なごみ
そんななか、羽咋市(はくいし)が放鳥場所に選ばれた理由はなんだったのでしょうか?
海岸線には、日本で唯一、波打ち際を車で走れる「千里浜なぎさドライブウェイ」が。
地域の人たちによって守られてきた豊かな自然や、広大な面積を誇る水田など、理由は複数あると思いますが、1つポイントとなったのが、地形だと思います。
井戸さん
本州初となるトキの放鳥を行うにあたって、基準となったのが佐渡島での放鳥。佐渡島は新潟県にある日本海最大の離島で、大佐渡・小佐渡という2つの山地が、中央の平野を挟んだ地形をしています。
この両サイドに山、あいだに平野が広がる地形に偶然にも似ていたのが、石川県羽咋市の南潟(みなみかた)という地域でした。実際私も佐渡島を訪れましたが、南潟の雰囲気とよく似ていて。この地形が、トキの住みやすい土地として評価されたのではないかと思います。
井戸さん
なごみ
佐渡市と羽咋市、ふたつの地に共通点があったんですね。
それに羽咋市で最後にトキが発見されたのも、南潟のあたりなんです。両サイドにある山の片方、眉丈山(びじょうざん)で野生のトキが見られていました。それもあって、今度トキが放鳥されたらこのあたりに定着するのではないかと言われていますね。
井戸さん
くわえて、羽咋市には、村本義雄さんという100歳を超える、石川県のトキスーパーバイザーがいらっしゃるんです。
井戸さん
村本さんはトキ保護の第一人者とされる方で、トキの生体調査や、日本にトキを連れてくるべく中国へ何度も足を運ぶなど、トキの野生復帰に向けて長年尽力されてきました。今回の羽咋市での放鳥も大変喜んでくださっています。
井戸さん
なごみ
まさにレジェンド……!たくさんの方の思いがつまったプロジェクトなんですね。
ところでなごみちゃん、トキの好物ってなんだと思いますか?
井戸さん
トキって実は肉食なんです。湿地や水田に住むドジョウ、カエル、タニシ、ザリガニなどを食べるんですよ。
井戸さん
トキが定着するには、このエサとなる生き物が十分に生息している必要があります。放鳥場所の選定にあたっては、国や県から生き物の生態系に関する調査がありました。
井戸さん
石川県は国や県の調査に向けて、トキの餌場確保に向けた取組みを実施する「モデル地区」を各市町に作成。
各モデル地区で、トキのエサとなるドジョウやカエル、ザリガニなどの生き物の生息数を調査した結果、トキが生息できる餌の量や水田面積が十分であることがわかりました。
井戸さん
なごみ
さまざまな条件判断や調査を経て、見事羽咋市が選ばれたんですね。
ちなみに、トキの翼の裏側って、古くから「朱鷺色(ときいろ)」といわれるオレンジがかったピンク色をしているんですが、サワガニなどに含まれるカロテノイド色素によってあの色になっているそうですよ。
井戸さん
なごみ
へ~!トキの生態を知れば知るほど、興味が湧いてきました!