1. ヤンバルクイナだけじゃない!道ばたの草木や小さな虫……希少生物の暮らしを支える、縁の下の力持ちたち
国頭村ってどんな村?
なごみ
今日はよろしくお願いします! まずはじめに、上開地さんがネイチャーガイドとして活動を行う国頭村(くにがみそん)とはどのような場所ですか。
よろしくお願いします! 国頭村は沖縄本島の最北端に位置する村で、村の面積の約84%を森林が占める自然豊かな場所です。
上開地さん
豊かな森と海が広がる沖縄本島最北端の村・国頭村
このあたりは国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がる地域で、国頭村と、隣接する大宜味村(おおぎみそん)、東村(ひがしそん)と合わせて「やんばる」と呼ばれるエリアなんです。
上開地さん
そもそも「やんばる」とは、漢字で「山原」と書くのですが、山々が原っぱのように広がる地形のこと。もともと、沖縄本島の北半分すべてをそう呼んだそうですが、外来種の増加やロードキル、密猟などによる森林環境の悪化によって、希少種が安定して生息できず、
現在やんばると呼べるのは、国頭村、大宜味村、東村、3つの村のみになってしまいました。
やんばるには固有種を含めた多様な生物が生息することから、2016年にやんばる国立公園、2021年には世界自然遺産に登録されました。
上開地さん
やんばるの自然は、展開される生物の密度の高さと、その多様性が大きな魅力だと思っています。 希少種で言うと、“飛べない鳥”として有名なヤンバルクイナ、キツツキの仲間のノグチゲラ、日本最大の甲虫でオスの前脚が長いのが特徴のヤンバルテナガコガネなど、ここでしか見られない生物がたくさん生息しています。
上開地さん
そんな生き物の多様性を支えている要因のひとつが、土壌だと思っています。 やんばるの土壌は大きく分けると、酸性とアルカリ性なんですが、場所ごとに土の成分が異なるので、生える植物や暮らす生き物の種類が違っているんです。
上開地さん
やんばるってそこまで大きな地域ではないものの、中身を読み解いていくとその多様な生態系がどんどん見えてきて、非常におもしろいんですよ。
上開地さん
ネイチャーガイドという仕事
なごみ
上開地さんのご職業である「ネイチャーガイド」。あまり聞き馴染みがないですが、どのようなことをされているのでしょうか?
明確な定義や資格があるわけではないのですが、海、山、川などの自然環境を安全にガイドしながら、 その場所にまつわるストーリーをお伝えする仕事です。
私の理想とするネイチャーガイドは、単に生き物に詳しいだけではなく、その生態系を守れる人だと思っています。 どんなに自然豊かな場所でも、必ず人が与える悪い影響があって。その事実も含めてきちんと解説することで、自然を大切に出来る仲間を増やせたらなと思っています。
上開地さん
ガイドツアーを行う上開地さん。森のなかで何度も足を止め、見られる動植物やその触れ合い方を伝える
整備された道を歩きますので、小さなお子様からご高齢の方まで、さまざまな年齢層の方に参加いただいています。 大型連休期間は、お子様連れのご家族が、観光オフシーズンは、シニア層のご夫婦が多いですね。
上開地さん
私のご案内するツアーでは参加いただく前に、決してめずらしい生物だけを見るツアーではありませんよ、と前置きしています。
なぜなら、やんばるの本当のすごさって希少種がいることではなく、その子たちが暮らし続けられる生態系を保っていることだと思うんです。 その生態系は誰が支えているのかというと、道ばたに生えている植物だったり、それを食べる小動物がいたり、 何気ない生物の営みこそが、こんなにも豊かな生態系を支えているんだ、ということに気づいてほしいんですよね。
上開地さん
なごみ
つい希少生物にばかりに目がいってしまいそうですが、それらを支える生態系にこそすごさがあるんですね。
ツアーで出会える生き物たちについて、教えてください。
先ほどお伝えした希少生物たちにくわえ、時期やタイミングによって異なりますが、暖かい季節ならオキナワキノボリトカゲが現れたり、雨の日は気がつけば足元にオキナワシリケンイモリがいたりしてびっくりすることもあります。
植物だと、イタジイの花や足元に咲く季節のランなど、本当に多様なんです。 草刈りされなければ、春は甘酸っぱいリュウキュウイチゴが食べられることもありますよ。
上開地さん
なごみ
想像するだけでワクワクします……!
日中のみならず、ナイトツアーも実施しているとか?
そうなんです。やんばるの森では、昼と夜とで目にみえるもの、聞こえる音がまったく異なります。
特に、梅雨から秋にかけてはその変化が顕著で、昼間は鳥の声やセミの声がにぎやかですが、日が暮れて薄暗くなるとセミの合唱がだんだんと静かになり、ぴたりと止まった瞬間に、夜の生き物である小型フクロウの仲間・リュウキュウコノハズクの「コポローコ ポロー」という声や、 年間を通して変化するカエルの鳴き声が鮮明に響きます。 雨がたっぷりと降るとカエルたちが散策路に出てきてくれたり、そのカエルを食べにくるヘビに出会えたりするラッキーな日もあります。ナイトツアーではそんな森の夜の顔をご案内しています。
上開地さん
なごみ
季節や時間帯によって森の違った姿が見られるんですね。森に住むたくさんの生き物に出会ってみたいです。
私、やんばるの道を100メートル歩くのに1時間かかるんです。誰もが通り過ぎてしまうような道で立ったりしゃがんだり、スピードを変えたりして歩く。 すると、さまざまな生き物たちと目が合うんです。こんなにも多様性の高い環境が人の暮らしのすぐそばにあるということが、この場所の何よりの魅力だと思っています。
ただ距離が近いぶん、人からの悪い影響もあっというまに広がるので、そこは訪れる方にもご理解いただきたいと思っています。
上開地さん
でもこれって、なにもやんばるだけがすごいというわけでもないと思っていて。
私が伝えたいのは、やんばるの多様性はもちろんのこと、どこにでもある身近な自然の尊さなんです。
上開地さん
自分の住んでいる街で、普段足元をじっくり見る機会ってなかなかないと思うんですよね。でも私のツアーを通して道ばたをじっと眺めて歩くことで、 自分の住む街へ帰ってからも、何気ない道を観察すれば、きっとおもしろい発見があると思うんです。 そんな、みんなのすぐそばにある身近な自然の大切さ、おもしろさに気づいてほしいなと思っているんです。
上開地さん
あと、ツアーで大切にしているのは、参加者の方に想像力を働かせてもらうこと。
たとえば、植物に虫食いがあるとします。なにも考えなければ、お庭や街路樹など植栽された植物に殺虫剤をまいて終わりだと思うのですが、
誰が食べたのかなと想像してみるんです。
そのうえで植物を観察してみると、知らない生き物に出会えたり、はたまたそれが外来種だったりする場合も多く、
周りの環境が本来あるべき姿じゃないんだ、と気がつけたり、一気に世界が広がっていくと思うんですよね。
上開地さん
なごみ
身近にありながら、知らない世界がたくさんあるということですね。
虫とか生き物が苦手な方もいると思うんですが、それって得体が知れないからだと思います。
その生態や暮らしを知ると何も怖くないし、気持ち悪くもないんです。 そうしたことをなかなか伝えてくれる大人がいないから、怖い、気持ち悪いものだと誤解されてしまう。
上開地さん
※毛虫の写真が表示されます。無毒の毛虫ですが、苦手な方は閲覧にご注意ください。
こちらは、マエグロマイマイと呼ばれる無毒の毛虫。「とっても優しい子ですよ」と上開地さん
実際、私のツアーでは、毛虫やナメクジ、ゴキブリ、クモなど、ちょっと嫌われがちな生き物もすべて紹介していますよ。
上開地さん
もちろん最初はみなさん抵抗をもたれます。
都会で見かける嫌われがちな虫の代表といえばゴキブリですが、みなさんが身近に見かける都会のゴキブリは、環境が悪い場所に生息する種類のゴキブリなんです。
一方、森で出会うゴキブリは種類が違い、トンボとかチョウチョと同じただの自然の生き物なんですよね。
その生態をきちんと教えてあげると、みなさんツアーの最後には抵抗なく、触ったり手に乗せたりして、“かわいい”って言ってくれるんです。
私のツアーでは、そういった生物への誤解と偏見を解きたいと思っています。
上開地さん
なごみ
きちんと知らないまま、怖いものだと決めつけていたかもしれません。
実際、みなさんツアーが終わった後、同じ景色が違って見えるようになりましたとか、子どもたちの生き物への接し方が変わりました、とかって言ってくださったりして、 そういう時にやっていてよかったなと思います。
上開地さん
上開地さんが案内する森林公園ツアー(昼・夜)の概要
希少種やめずらしいもののみを見るツアーではなく、普段通り過ぎてしまうようなところに身近な自然の魅力があることに気づいていくツアー。ゆっくりと生き物の目線で歩き、草花ややんばるらしい季節の生き物を発見します。
どんな生き物に出会えるのか、季節・天候・タイミングによって異なるため、ツアー時期によって案内も変化し、特別な体験を味わえます。
■ ネイチャーガイドと歩く森林公園ツアー
| 感じられる自然 |
やんばる固有や亜熱帯の動植物・キノボリトカゲ・イシガケチョウ など |
| 料金 |
大人(高校生以上):6,500円 / こども(中学生以下):3,500円
※3名以上から未就学児1名無料(未就学児は3時間の道のりを歩ける、または保護者の方が抱っこで対応できるお子さまに限ります)。
※料金は当日案内人へお渡しください(おつりが無いようにしていただけるとありがたいです)。領収書が必要な方は事前にお知らせください。 |
| 所要時間 |
3時間程度 |
持ち物
| 気候に合わせた長袖、長ズボン、帽子、歩きやすい靴(サンダル不可)、飲み物(500mlくらい)、雨具(カッパがオススメです。傘は貸し出し5本まで)、あれば双眼鏡、カメラ、メモ帳など。 |
| 申し込み・お問い合わせ |
info@endemicgarden.jp
※申込み時の必要事項:①代表者のご連絡先(携帯)②参加者全員のお名前・年齢・お住まいの市町村
|
■ 森林公園ナイトツアー
| 感じられる自然 |
やんばる固有や亜熱帯の動植物・リュウキュウコノハズクの声(梟)・カエル など |
| 料金 |
大人(高校生以上):7,500円 / こども(中学生以下):4,000円
※3名以上から未就学児1名無料(未就学児は3時間の道のりを歩ける、または保護者の方が抱っこで対応できるお子さまに限ります)。
※料金は当日案内人へお渡しください(おつりが無いようにしていただけるとありがたいです)。領収書が必要な方は事前にお知らせください。 |
| 所要時間 |
3時間程度 |
持ち物
| 気候に合わせた長袖、長ズボン、帽子、歩きやすい靴(サンダル不可)、飲み物(500mlくらい)、雨具(カッパがオススメです。傘は貸し出し5本まで)、あれば双眼鏡、カメラ、メモ帳など。 |
| 申し込み・お問い合わせ |
info@endemicgarden.jp
※申込み時の必要事項:①代表者のご連絡先(携帯)②参加者全員のお名前・年齢・お住まいの市町村
|